医者の仕事というのは、ほぼすべて厚生労働省が規制しているのです。収入面ではこの病気にこの検査をしたら、何点、この治療をしたらまた何点、そして処方をしたら何点というように、すべて細かく決められています。
あまりに細かい制度なため、医者でも全貌は把握することができない人も多く、詳細は病院にいる医療事務という民間資格を持つ人たちに質問するなどしています。
そして、医療界全体の向かう方向性もすべて厚生労働省が決めていますので、医療は規制産業と呼ばれています。医者も病院も厚生労働省に規制されており、厚生労働省が出す指示にほぼ従う構造になっているのです。
また厚生労働省は医者に対して、多剤の処方を抑制する処置を取っています。これは、厚生労働省からの「高齢社会が来て薬が増えすぎている。だから、薬をたくさん出す医者にはお金をあまりあげないので、あとは、現場で考えて頑張ってください」というメッセージなのです。これに対して、現場である医者が頭を抱えて考えるという構図になっています。
このような構図は薬の話だけでなく、医療のあらゆる場面で見られています。現場の医者は患者さんのことを思い最善を尽くしたいと思っていても厚生労働省の決まり事から反している場合はできないこともあるということです。
厚生労働所とクリニックの経営と患者さんに挟まれて、現場の医者は頭を抱えることが多いでしょう。しかし、世の中にたくさんの医院がある中でこのようにきちんと様々なことが決められているということはとても、便利なことであるとも考えられます。上手に付き合っていくことが今後の医療にとって大切となるでしょう。