医者と言っても評判が良い医者、悪い医者など、様々です。では、医者からみて、「こんな医者は、医者から見ても嫌だ、かかりたくない」という医者についてみていきましょう。医者である自分も、「自分も、自分では気が付かないうちにそのような医者になっているかもしれない。気をつけよう。」と強く自戒を込めて書きます。
まず、医者と患者さんの関係とは、どのような関係なのかについて考えていきましょう。
「病気」という一つの敵のようなものに対して一緒に協力して立ち向かっていくイメージではないでしょうか。言い換えてみると、言わば戦友のよう関係と言ってもいいかもしれません。
そのような関係が築けていれば、同じ敵に向かって、医者と患者が手を取りあって作戦を練っていくはずです。しかし、非常に残念なのですが医者の中には患者さんの話をあまり詳しく聞かなかったり、話をすぐに遮って、医者からの説明を淡々とこなすように診察してしまう医者がいるというのも事実なのです。これは、医者の役割を果たしていると言えるのでしょうか。本来は同じ、病気という敵に向かって戦うべきチームメイトのはずなのに、チームメイトの話を聞かずに、状況を詳しく知らずにどうやって戦っていくつもりなのでしょうか。
あまり医療についてこのように説明する人はいないかもしれませんが、医療というものは、とても「個別性」が高い分野と言われています。「個別性」とは、説明すると、医者や患者さんが10人いれば10通りの治療方針が考えられるということです。患者さんの中には、どれほど苦しくても辛くても生きられるなら辛い治療を頑張りたいと思う人がいる一方で、痛みや苦しみがあるくらいなら命が短くなってもいいから辛い治療は一切受けたくないという考えの人だっているのです。
医者は、その病気に対して、科学的な根拠のある治療方法を知っていたとしても、あくまで患者さんの意志を尊重することを第一に優先し、やりたいよう、生きたいように手助けするという使命があるのです。これから、どんどん進化していく医療に伴い、よりいっそう「個別性」は加速されていくと考えられます。この個別性を尊重するという医療は、一人ひとりの患者さんときちんと向き合い、その人に合わせた治療をしていくという意味で「テーラーメイド医療」などと呼ばれています。患者さんが、どんな生き方を望んでいるのかというのを医師は把握していかなければなりません。
しかし、しっかり把握していくためには今のままの診察方法では患者さんとのコミュニケーションを取る時間は決して十分とは言い難い時間です。しかし、患者さんの考えや気持ちを知ることができる唯一の方法は、やはり、面と向かっての患者さんとの会話だけなのです。
このように考えると、患者さんの話をきちんと聞いてくれない医者は、患者さんとともに病気に立ち向かおうとしていない、患者さんときちんと向き合っていないということになると思います。医者には時聞がないというのは事実なのですが、それでも「話を聞く姿勢」だけは死守していく必要があるでしょう。そして、今後もそのような姿勢で働いていける医師を求人募集していく必要があるでしょう。